時つ風(2014.9長月)

朝肩が冷たくて少し早めに目が覚めた

ついこの間まで暑くてグダグダ言ってたのに

なんだか、急に自分がわがままに思えたよ

窓の外に目をやれば草が水滴のドレスをまとっていた

朝日に照らされながらキラキラと輝いていた

僕が眠っている間に雨が降ったんだろう

君が知らない間にこんな事が起きたんだよ

あんなこともあったんだ

草がキラキラと輝きながらささやきかけてきたようだった

起きた時の寒さは嘘のようにけだるく蒸した暑さの中

アスファルトをカツカツ音をたてながら歩いていた時

ずっと向こうの方から潮のにおいがした

さっきまで暑いななんて思ってたのに

今はずぶ濡れで、風が吹けば寒いくらい

なんだかからかわれている気もしたよ

君の知らないことがこんなにもあるんだ

まだまだ気づいてない事もいっぱいあるんだよ

風がスッとささやいていったようだった

雨の後の風が濡れた髪の毛を乾かしていく

風を心地良いと感じたとき

僕は立ち止まった

心の中の奥の方、普段は見落としてる隅の方だ

少し覗いてみた

そうだった、あの時は花が咲いてたんだ

もう少しで寒くなるんだろう

大丈夫、僕も知ってるよ

風が心地よくてね

時つ風(2014.9長月)

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